ここはイラストレーター槻城ゆう子のブログです。
お仕事情報や日々思うことを、気まぐれに書いていきたいと思います。+++2007.1.1 start+++
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ボローニャ旅〜「セビリアの理髪師〜IL BARBIERE A FUMETTI」1

急遽、ヨーロッパ最古の総合大学、ボローニャ大学関係者に招待され、まさかの海外一人旅。
一番驚いたのは槻城本人です。

「日本の漫画家とコラボしてオペラの舞台を作りたい」とのご相談。

 

音楽はとても好きですが、オペラはワーグナーやプッチーニを嗜む程度、「セビリアの理髪師」はフィガロがカッコいい程度の認識。しかも槻城は漫画家としては作品数も少ない寡作の作家。そもそもなぜ槻城に白羽の矢が?とは思っても、せっかくのご縁、めったにない機会にはチャレンジするしかありません。

深夜羽田発エミレーツ航空でドバイを経由してボローニャへ。
郷土熊本空港と同程度の比較的小さめの空港ロビーに、ボローニャ大学の方が迎えに来てくれました。見た目が髪色もブルネットのローマ人な方でしたので会話が心配でしたが、なんでも日本文学に携わっていて横溝正史の翻訳をされたこともあるとのことで問題なし。ビストロ?で一休みさせてもらって到着早々最初のお仕事、制作発表会です。

場所はボローニャ旧市街の南東端、バラッカーノ小劇場。古い教会を改装した劇場は、当時の壁画もそのままで趣があリました。発表会前に劇場の事務所で打ち合わせ…ここの壁にも古い十字架のイエス様の像が残されておりました…通訳さんを交えて先方のイメージを伺います。滞在中の限られた時間しかありません。私は、すり合わせ材料として粗筋や主なエピソード、キャラクターイメージ画を用意。先方の作りたい作品の形と、私が持つイメージの確認作業は順調に運び、言葉が分からなくても絵は世界共通であると感動しました。聞くとイタリアでは漫画やアニメなどの人気が高く、その日本独特とも言える漫画の書式にも理解が有るとのことでした。しかし、お話を詰めていくにつれ細かい点が明確になっていきます。

 

演奏は、指揮者でプロデューサーでもあるジャンバッティスタ・ジョコリ(Giambattista Giocoli)氏率いる小楽団。元々2時間に及ぶオペラですが、現代向けに聴きやすく短くした演奏時間とのこと。その演奏中の背景スクリーンに表示される絵を、私に描いてほしいとのことでした。そして爆弾発言いただきます。「歌手はいません」

 

オペラは、音楽にのせて歌手が舞台で歌い演じて物語を伝えます。
その歌手がいない。しかも「セビリアの理髪師」は途中で主人公の立ち位置が替わったり、一人の人物が変装したり偽名を使ったり、物語を進めるアイテムがメモ書きだったりと、絵的に非常に解りにくいのです。私「アニメじゃないと無理…」

 

久しぶりに脳内が組み替えられる感覚に襲われました。それまでは、歌があるから曲のイメージを一枚絵にして、あとは臨機応変でカットを入れて…などと考えていたのです。とはいえ、物語がある以上それを伝えなくて何が作家かと。ジャンバッティスタ氏は、楽器の音で人物を演出するとのこと。場の雰囲気も曲の緩急でわかるのでは…?となると、なんとはなしになんとか出来そうな朧げな感覚が生まれました。そこでいったん案件を宿に持ち帰り、ボローニャ滞在中に構想をやり直すことにしました。任せてもらえれば、冒険とも言える実験は嫌いではありません。

そうした濃厚な一回目の打合せ直後…出国して直行で何時間?迎えた「IL BARBIERE A FUMETTI」と題された発表会には、劇場とオペラと漫画に興味のある方々にお集まりいただいた模様。通訳さんを通し、この実験的な試みへの取り組み方などを話し、簡単なライブドローイング…概ね漫画用品(筆ペンにミスノン)と手法(アシスタントにベタを塗ってもらうなど)の説明でしたが、生で見るのは珍しいらしく楽しんで頂けたようでした。 発表会は、日本人でボローニャ在住のオペラ歌手、有光・ヴィトゥッチ・泰子さんのリサイタルで締めくくられました。(プロジェクト「IL BARBIERE A FUMETTI」)

   

この日は、ボローニャで毎年行われているという、日本のサブカル紹介イベント「NipPop 2017」の初日とのことで、開放されたバラッカーノ小劇場の中庭や、ローマ時代の遺構を改装したようなお店での各国のゲストさんたちとの交流会などに同席させて頂きました。大学主催の日本交流会だからでしょうか、あきらかに欧米人という方々がこぞって流暢な日本語でお話くださるので、日本語しか話せない槻城も割と気兼ねなく過ごさせて頂きました。

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